【タカラトミー100周年記念サイト・映像】を手掛けたタカラトミー メディア戦略室 室長 木村さんとワンパク代表 阿部に制作の裏側をインタビュー
1924年創業の株式会社タカラトミーが2024年2月に100周年を迎えました。その創業100周年を記念した「特設Webサイト」「100周年タイムライン」「会長・社長のインタビュー映像」「創業者ムービーアニメーション映像」の企画と各種制作をワンパクが手掛けました。その制作を振り返り、タカラトミー メディア戦略室 室長 木村さんと本プロジェクトのクリエイティブディレクターを務めたワンパク代表取締役社長の阿部が対談した模様をお届けします。ここでしか聞けない制作時の裏話や秘話も公開!
公開サイトはこちら:https://www.takaratomy.co.jp/company/100th/
木村 貴幸(きむら たかゆき)
株式会社タカラトミー メディア戦略室 室長
1997年株式会社タカラトミー(当時トミー)入社。営業、マーケティングなどの部門を経て、経営企画室にて新たに立ち上げた新規事業部の責任者を10年間担う。トミカブランドマネージャーや、動物フィギュアのアニア、パウパトロールなどヒット商品を世に送り出す。2年前に現在の「メディア戦略室」の室長に就任、現在に至る。
― 現在の職域
【木村さん】 タカラトミー公式SNS・ホームページ・ECサイト・広報・テレビCMなどのメディアバイイング・おもちゃのショーなどのイベント・IPへの出資部門など、タカラトミーがメーカーとして一般の消費者や対外的に触れあうもの全てを多岐にわたり担当する「メディア戦略室」の責任者をしています。
阿部 淳也(あべ じゅんや)
株式会社ワンパク 代表取締役社長
74年宮城県生まれ。自動車メーカでのユーザインターフェースエンジニアを経て、IT部門でデザイナー・テクニカルディレクターを経験。2004年より広告代理店系プロダクションにてクリエイティブディレクターとして従事した後、2008年に株式会社ワンパクを設立。 DMI(旧Web研)Web人賞受賞、企業Webグランプリ「BtoB部門グランプリ」受賞など
【木村さん】 阿部さんが2011年からやっていた東北震災支援のプロジェクト「セミボラ」で、2012年に仙台でロボットをテーマにしたトークセッションに、当時パルコにいた林さん(現:J. フロント リテイリング)と一緒に呼んでいただいたのがきっかけです。
当時、僕は新規事業として、家庭用のロボットをつくっていたので、その話をさせてもらいました。それをきかっけに、お互いが東北出身で1974年生まれの同い年ということもあり、マーケティングやクリエイティブの同世代の仲間達と共に交流させてもらっています。
【木村さん】 2月に100周年を迎えるにあたり、どんなホームページを立ち上げるかを経営陣と会話をする中で、100年周年は一度きりなのだから、歴史やメッセージも入れたいといった要望が出て、そこから具体的に企画をスタートさせました。
僕自身も周年サイトを企画するのが初めてで、最初に頭に浮かんだのが阿部さんでした。ワンパクさんは、他社の周年サイトの企画や制作の経験があることを聞いていましたし、阿部さんとは日頃のコミュニケーションの中でタカラトミーのことを好きなことを知っていたので、当社への理解も早いだろうと思い、急遽連絡し、2か月後に立ち上げるという無理なお願いにも関わらず、快諾いただき、週1ペースでの企画会議が急ピッチではじまりました。
【阿部】木村さんは、他社の周年サイトのリサーチを十分されていたので、まずは他社が展開している内容をベースにし、企画の概要を固めていきました。
更にはプロジェクトキックオフ前にタカラトミーの過去の史料を見て学び、半日程かけてタカラトミーの100年の歴史をインプットして頂きました。アーカイブ室には過去の商品も保存されていて、僕が幼少期に遊んだおもちゃなども沢山あって、とても懐かしい気持ちになりました。そこでこの「懐かしい気持ちになる」インサイトを軸に企画を進めて行こうと考え始めました。
【木村さん】 他社の周年サイトの企画や制作の経験があることが心強かったですが、ワンパクさんの「一緒に考え、一緒に作る」というスタイルが、タッグを組むみたいな気持ちになれて。急ピッチで進めなければならない中で、定期的にディスカッションできる環境もよかったですし、テンポよくプロジェクトを進められました。
【阿部】 基本的に僕らが受ける仕事は最初から答えがあるようなケースがむしろ少なく、それを対話の中でどう実現していくかを整理しながら進行するのがワンパクのスタイルです。「問題・課題の整理」とそれをどうやって「解決」していくか。普段はかなりの時間を割いてワークショップで一緒に考えていきますが、今回はスケジュールがタイトだったので、素案となる企画アイデアを出し、一緒にそれを叩いていくような形式で進行しました。
その結果、「100周年Webサイト」「歴史コンテンツ」「会長インタビュー映像」、「創業者アニメーション映像」を進めることになりました。
しかしながら、タイトな日程の中での同時進行だったので、まず各々のマストなリリースのタイミングを明確にし、フェーズ分けをおこなった上でスケジュールを組みました。
【木村さん】 まずはタカラトミー創業日であり100周年の日にあたる2024年2月2日に100周年サイトと会長インタビューを公開することを目指しました。その後、タカラトミー内のイベントのタイミングに合わせてコンテンツを順次公開していきました。
その後、4月に公開した歴史コンテンツ「HISTORY TIMELINE」が一番大変でしたね。それまでのタカラトミーの企業サイトにある歴史情報は、文字情報しかなかったんです。それでは、企画の中で固めていった親子三世代が遊んだおもちゃを見て「懐かしい気持ちになる」ということが実現できません。そのための画像収集をおこない、画像が無いものは史料室にセットを組んで新たに撮影をおこないました。
【阿部】 百年の歴史の中で、どんな出来事、どんなおもちゃを取り上げるのかを決めるのは大変だったと思います。更に、その画像は存在しているのかを社内で確認する手間暇、それぞれのおもちゃをどのように説明するかなど、タイトな中でタカラトミー側の協力がなければ実現は難しかったと思います。
【木村さん】「創業者ムービー」は、当初は100周年の記念映像をつくりたいというざっくりとした与件で「こんな映像つくりたいんだけど」とサンプルに出したのがCGを主体にした映像でした。結果的には阿部さんのアイデアで線画を動かすアニメションの方がタカラトミーのテイストに合うのではないかということでその方向で進めることになりました。
【阿部さん】 最初の段階で映像で伝えたいことを字コンテとして木村さんが書いてくれたんですが、想いがこもりすぎてすごいボリュームで(笑)。映像の尺としては7〜8分くらいになりそうだぞと。そのため、僕の方で一番伝えたいことをイメージしながら圧縮し、それを一緒に叩きつつ、絵コンテに落とし込みながら進めていきました。
【木村さん】ストレートに言えば、身内感というか、仲間って感じで取り組んでくれて。ワンパクの仕事の取り組み方は請負仕事ではなく、自分ごととして取り組んでくれているのが常に伝わる対応でした。常にディスカッションができる関係で取り組めたのがよかったです。
【阿部】 僕達的にはそれが基本的なスタンス。大切なのは、「クライアントの先のお客さんは誰?」ということが重要です。今回は「タカラトミーのおもちゃで遊んでいる人たちは誰なのか」そこがぶれなければ同じ視点で、同じ想いになれます。
それと今回は、木村さんとこれまで築き上げた信頼関係が少なからずアドバンテージになりましたした。特にディスカッション時の判断のスピード感はタイトな日程の中では本当に助かりました。
【木村さん】 もちろん検討する内容にもよるけど経営陣がある程度私に任せてくれているので、その許容範囲内でスピード感を持って判断をすることは心掛けていました。結果的にそれでお互いにベストな形で進めることはできたんだと思います。
【木村さん】 トラブルって程じゃないけど、社長インタビューで使う予定だった椅子が想像よりもちっちゃかった問題かな?(笑)
【阿部】 ありましたね(笑)。新社長のインタビュー撮影で使うレンタルの椅子をオンラインで発注していて、実際に届いたら想定より小さかったんです(笑)。インタビューでは、これから前に進む、威風堂々な姿にしたかったのですが、木村さんから「こんな感じだけど明日大丈夫?イメージと違くない?」と前日に連絡がきて。急遽家具屋で再調達して、僕が車を運転して届けにいきました。時間がなくても現物を見ないとやっぱりダメですね…!
【木村さん】 嬉しい悲鳴もありましたね。撮影時に会長が予定よりたくさんお話してくださって。元々10分くらいの尺でまとめようとしていたところを、1時間位話してくれて、普段一緒に働いていてもそういう話を聞ける場に立ち会えることは少ないので、会長の喜びながら話す姿を見られて嬉しかったです。
【阿部】 撮る側も楽しみながら対応できました。多くの方に見てもらうために長尺にしない方がいいと最初は考えていましたが、トップの言葉は今後受け継がれていくもの。想いが詰まった貴重な話をアーカイブしておくことが大事なんですよね。結果、かなりの部分を使わせていただきました。そういう意味では、多くを語っていただけて良かったです。
【木村さん】インタビュー時にテーブルに置いていたおもちゃは、会長や新社長が自ら選んだこだわりのロケーションなので、ぜひそちらも注目いただきたいですね。史料室に展示されているなかなか見られない希少なおもちゃもありますので。
【木村さん】「100周年タイムライン」は、わかりやすくプラレールをモチーフにしたアイデアが旅気分で見られていいですね。100年間のおもちゃの量ってすごいじゃないですか。セレクトしたのは200点程でしたが、初期の歴史やおもちゃで、わからないものは会長やOB、社内のレジェンドの方々にもヒアリングしながらだったので、かなり大変でしたが、こうやってまとまったものを見ていると本当にやってよかったと思えました。
【木村さん】「100周年のアニメーション」は創業者がどんな想いで会社をつくり、その想いががどんなかたちで今に繋がっているかをビジュアルで明確に伝えることができました。実は創業者の青年時代の写真で鮮明に残っているものが存在しておらず、眼鏡をかけていたのでは、など諸説あるのですが、社内で相談して今の姿に落ち着きました。
「インタビュー映像」は、会長と社長の生の声をお客さまや従業員に届けられたことが、個人的にもいい経験になりましたね。撮影の数日前に、質問の確認も兼ねて簡単なリハーサルをやることになって。想いをいち早く、ご本人に直接聞けたことは、100周年のタイミングで今のポジションにいたからこその出来事。忘れられない貴重な時間になりました。
【阿部】2月2日のWebサイト公開から始まり、映像や歴史コンテンツなど、Webサイトにコンテンツが増えていく度にやってよかったと実感しました。
僕はプラレールでもトミカでも遊んだ世代なので、その数々のおもちゃの歴史に触れられたことは個人的な嬉しさもひとしおでした。会社もワンパクという社名なだけに、遊び心を忘れない会社でもあるので、おもちゃやあそびをつくるタカラトミーの貴重な100周年の節目の仕事ができたことがとてもありがたく、誇らしい気持ちも湧いてきました。
【木村さん】 評判いいですよ。人事部からは採用ページの参考にしたいと言われました。懐かしいおもちゃを久しぶりに見たり、自分の会社を振り返れたりは、周年だからこそ。それこそ子どもの頃に遊んでたおもちゃがたくさん出てきた時に、これもタカラトミーだったんだ! 遊んだことある! と感じてもらえるものをたくさん出せたので、写真付きで頑張った甲斐があったなと思いました。
僕的には、自分で携わった商品が掲載できたことも嬉しいですね。100周年のサイトに載せられるような商品に携われたことへの喜びを噛み締めています。
【木村さん】今回のこの周年制作で実績ができたので、また一緒にお仕事ができれば嬉しいですね。会長がいつも言っている「夢」。子どもたちの夢を考え、夢が詰まったおもちゃづくりをしていきたくて。あそび心を持っている人たちの夢を叶えたり、子どもの夢のきっかけになるものを一緒につくっていけたらいいですね。
【阿部】子どもの頃に体験したことや、経験したことって原体験として残るじゃないですか。何かしらのおもちゃで遊んでいれば、その何かしらの中には、絶対タカラトミーのおもちゃが一つ二つは入っていると思うんです。そういう子ども達の未来に繋がるようなあそびの一翼をお手伝いできるのは幸せですし、またご一緒できたら嬉しいですね。
① 特設Webサイト制作
https://www.takaratomy.co.jp/company/100th/
②100周年タイムライン
https://www.takaratomy.co.jp/company/100th/history/
③ 映像制作4本 ※それぞれに英訳版も制作
■社外向け2本
会長インタビュー https://youtu.be/S9TfwLs_IAs
社長インタビュー https://youtu.be/-22cYBgREMc
■社内向け2本
会長インタビュー、社長インタビュー
④ 創業者ムービーアニメーション
https://youtu.be/cd4xseYFi_o
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